「今やネットを使った集客や販促は当たり前」
ただし、言うは易く行うは難し。
その「当たり前」に日々頭を悩ませるマーケティング担当者も多いと聞きます。
それもそのはず、他社と同じことをしていても大きく数字を伸ばせないのがマーケティングの常だからです。
集客のためにただ闇雲にネット広告を利用しても、溢れる他の広告の中に埋もれてしまい、思うような効果を得られないのが現状です。
そこで注目されているのが、一人ひとりのユーザーとのつながりを重視し、自社の商品やサービスファンになってもらうことを目指す、「LINE」などSNSを活用したマーケティングです。
今回は、そんなこれまでの「当たり前」を少し変える「LINE公式アカウント」のマーケティングについて解説していきます。
LINE公式アカウントとは
「LINE公式アカウント」とは、現在8,600万人の利用者を誇る日本No.1のSNSである「LINE」の法人向けサービスとなります。
ユーザーとのコミュニケーションに特化しており、メッセージの一斉送信やクーポンの発行、チャットなどの機能を使って、顧客であるユーザーとの関係性を深めることができます。
ネット集客の難しさ
まず、ネット集客で問題になるのがユーザーを一から集めることの難しさです。
自社の商品やサービスをアピールするためにネット広告を出したとしても、ユーザーの目に触れなければ意味がありません。
どのようなWebサイトにどのようなタイミング、どのような見せ方で出すのかが集客の成否に直結してきます。しかし、その見極めは簡単なものではありません。
また、広告を打つ期間も重要です。
新商品や新サービスのローンチであれば短期間に注目を集めることで効果を得ることもできますが、安定した収益を上げるためにはユーザーへの継続的な広告宣伝が必要となります。
そして、ネット集客にはもう一つ大きな壁があります。
それは獲得した顧客の定着です。
自社の商品やサービスを利用した顧客をファン化させることができれば、収益も安定し、新たな事業展開にも打って出られるのですが、そのような関係を築くことは容易なものではありません。
メール配信などで顧客にとって有益な情報を発信し続ける企業は多いですが、顧客のニーズに合わせた内容や配信頻度などを顧客ひとりひとりに向けてチューニングすることは難しく、どうしてもメールの開封率などが下がって行ってしまいます。
今ネット集客で求められるのは、ユーザーと自然なつながりを持ち、その関係性を深めていける方法なのです。
LINE公式アカウントの強み
そこで今回おすすめするのが、LINE公式アカウントを使ったマーケティングです。
LINE公式アカウントを利用するメリットは大きく分けて3つあります。
まず、一つは月間8,600万人という大規模なアクティブユーザーに向けて自社の広告を展開できること。
二つ目は、LNEがユーザーに日常的に使用されるため、メッセージ到達率が高く、その開封率も高くなるという点です。
そして、最後に、チャットを通じてユーザーとコミュニケーションをとることで、ユーザーひとりひとりに合わせた対応ができるということです。
現在、LINEは社会インフラとも呼べる立ち位置になっており、連絡手段や情報収集、ショッピングにゲームなど様々な需要を1つのプラットフォーム内で満たすことができます。
そのため、ユーザーの日々の生活に溶け込んでおり、自然と利用する頻度が増えるアプリとなっています。
当然、LINE内のネット広告に関してもユーザーの目に留まる機会が多くなるという訳です。
加えて、LINE公式アカウントがネット集客で有効なのは、タイムラインやLINE NEWSに表示させる「友だち追加広告」を活用することでユーザーの興味を引き、友だちになったユーザーとのコミュニケーションを重ねることで、「ID連携」などの関係強化策ににつなげていける点です。
友だちになったユーザーにはメッセージを介して宣伝することができます。
注目すべきはメッセージ到達率で、なんとその率100%、メッセージ開封率も驚異の60%越えとユーザーとつながるためには最適なツールと言えるでしょう。
これはユーザーが普段から家族や友達との連絡手段として使っている部分が大きく、プッシュ通知やお知らせに表示されることで、ついでにその内容を確認するという流れができているLINEならではの強みとなります。
更に、こうしたメッセージによる宣伝の他にも、顧客からの相談や予約、購入といったニーズにチャットで個別に対応できるのも大きなメリットです。
それぞれの顧客に合わせた提案ができるため顧客の満足度も高く、その関係性を深めていくことができます。
こうした積み重ねは顧客をファン化へ導き、自社の収益アップにもつながって行きます。
このように企業が伝えたい情報を確実に届け、ユーザーにすぐに読んでもらえるLINE公式アカウントは、スマホ一つとアプリがあれば完結するその気軽さも手伝って、最強のマーケティングツールとなるでしょう。
これからのネット集客は、LINE公式アカウントを活用し、より多くの顧客に向けてOne to Oneコミュニケーションを行えた企業が勝ち抜いて行けるでしょう。
LINE公式アカウントの活用事例
では、ここからはLINE公式アカウントがどのように活用できるのか、事例とともに見ていきます。
オルビス株式会社
スキンケア商品を扱うオルビス株式会社は、ユーザーとのコミュニケーションを重視したダイレクトマーケティングに力を入れてきた企業です。
LINE公式アカウントの導入も早く、既に友だち数3,300万人という大規模アカウントに成長しています。
開設当初はお友だちを集めるためにLINEプロモーションスタンプを活用、お友だちになったユーザーにメッセージ配信やLINEチャットなどで自社の商品をアピールすることで新規顧客を増やしています。
更に、抽選でオンラインショップで利用できるポイントを付与するキャンペーンをお友だちに行うことで、ID連携を促し、自社の商品へのファン化を進めています。
これは、LINEの連絡手段やショッピング機能を使ってユーザーへの企業の認知からファン化までをワンストップで行った好例となります。利用者が多く、様々な機能が一つのプラットフォームに統合されているLINEだからできたマーケティングだと言えるでしょう。
東急株式会社
東急株式会社では、鉄道事業の他にもその沿線を中心にスーパーマーケット「東急ストア」を展開しています。
実店舗ということでオフラインでの接点がメインとなっていましたが、ユーザーのニーズをより鮮明に把握し、マスデータ化するためにLINE公式アカウントを導入しました。
LINE公式アカウントを選んだきっかけはQRコード決済の導入で、これまでは各店舗がそれぞれにキャンペーンを行うため全体の把握が難しくなっていましたが、これを機に顧客情報などをデジタル化することでユーザーとの関係性を強化し、集客を一元化したいという考えがあったそうです。
そこで白羽の矢が立ったのがLINEです。ユーザーとの自然なコミュニケーションがとれるLINE公式アカウントとモバイル送金・決済サービスのLINE Payを併用することで新たなCRM基盤を作り、『買い物をすると友だちになる』という自然なつながりを目指しました。
LINE公式アカウントでは「友だち数」「ID連携率」「ブロック率」の3点を重視した運用をしており、友だちやID連携機能を用いたクーポン配信やポイント付与で積極的に販促キャンペーンを行なっています。
ブロック率には特に注目しており、その数値によりユーザーの不満を可視化できるため、過度の告知やキャンペーンを抑える指標の一つにしています。
LINE公式アカウントから得られる情報を元にユーザーのニーズをしっかりと分析することで、Push型とPull型のマーケティングをうまく使い分けている事例となります。
株式会社資生堂
大手化粧品メーカーである株式会社資生堂は、自社の既存のWebサービスとLINE公式アカウントを連携させることで集客効果を伸ばしています。
元々、資生堂では米セルスフォース社のマーケティングオートメーション(MA)ツール「Salesforce Marketing Cloud」を導入し、One to Oneコミュニケーションを展開していました。自社のWebサービス「ワタシプラス(watashi+)」を介して、会員向けに自社商品やメイク・化粧品に関する様々な情報をメール配信で提供していましたが、大量配信でPVは伸びたものの、メールの開封率の低下や大量のメールにうんざりした会員の脱退が発生し始めました。Push型マーケティングならではの問題です。
そこで、MAツールがLINEにも対応していることに目をつけ、メールと併せてLINEをコミュニケーションプラットフォームとして利用することにしました。
ワタシプラスの会員IDとLINEのIDを連携させることで、ユーザーの情報を一元化、LINEというユーザーに近いコミュニケーションツールを使うことで、大量のメールを一斉配信せずともユーザーひとりひとりに合わせた情報を自動で発信することができるようになりました。
このようにLINEというユーザーにとって身近で生活に根付いたプラットフォームをうまく活用することで、ユーザーとの関係性を深め、ネット集客に努めている企業が増えています。
まとめ
ネット集客を一から始めようと考えると、ユーザーの注目を集めるために目立つ施策が必要だと考えがちです。
しかし、そのような集客の方法ではユーザーの関心の維持が難しく、思うような効果が得られないまま費用だけが嵩んでいくという事態を巻き起こしかねません。
これからのネット集客のマーケティングに求められるのは、一人でも多くのユーザーの日常生活の中に溶け込み、ユーザーひとりひとりのニーズに寄り添うことなのです。
多くのユーザーとOne to Oneコミュニケーションが可能なLINE公式アカウントは、今後のネット集客のマーケティングに欠かせないものとなるでしょう。