「LINE公式アカウントの『地方公共団体プラン』とは一体なに?」
「地方公共団体が、住民との情報共有やコミュニケーションにLINEを活用することはできないだろうか?」
近年、住民への情報発信や行政サービスの効率化を目的に、LINEを活用する地方公共団体が増えています。
LINEアプリの利用率は国内で約9割と高く、住民の多くが日常的に使っているため、地方公共団体が利用した場合も、確実に情報を届けられるという強みがあります。
LINEヤフー社もそのようなニーズに応えるため、「地方公共団体プラン」と呼ばれるLINE公式アカウントのプランを設定し、注目を集めています。
この記事では住民への情報発信を効率化したい地方公共団体の職員の方や、広報担当者の方に向け、LINE公式アカウントの「地方公共団体プラン」の概要や通常プランとの違い、活用方法などについて解説します。
- ・LINE公式アカウントの地方公共団体プランの概要
- ・地方公共団体プランを利用するメリットや効果
- ・地方公共団体プランの導入から運用開始までの流れ
- ・地方公共団体のLINE公式アカウントの活用事例
LINE公式アカウントの地方公共団体プランとは?

LINE公式アカウントの「地方公共団体プラン」は、他のプランと比べ、どのような点が異なり、どういった団体が利用できるものなのでしょうか。
まずは「地方公共団体プラン」の特徴や、利用条件について見てみましょう。
地方公共団体プランの概要
LINE公式アカウントの地方公共団体プランは、LINEヤフー社が都道府県市区町村向けに提供する特別なプランです。
通常のLINE公式アカウントは無料プランに加え、1か月あたりのメッセージ配信可能数に応じて、「ライトプラン」「スタンダードプラン」と呼ばれる、有料プランを提供しています。
「地方公共団体プラン」ではメッセージ配信数に関係なく、基本機能を無償で利用可能。都道府県および市区町村(区は東京23区のみ)が、住民へ行政サービスを届けることを目的とした場合に限り、契約が認められるプランです。
以下の記事では、LINE公式アカウントの活用事例や、自社に合ったプランを選ぶためのポイントについて解説しています。そもそも「LINE公式アカウントにはどのようなプランがあるのか分からない」という方は、以下の記事をチェックしてみてください。
地方公共団体プランの適用対象と条件
地方公共団体プランを利用できるのは、都道府県・市区町村(区は、東京23区のみ)の公的団体に限られ、それ以外の民間の団体などは対象外です。
アカウント名は自治体名に準じる必要があり、申込者が地方公共団体に所属していることが条件です。代理店などを通じた申し込みは認められません。
また、利用しているアカウントが「認証済アカウント(青バッジ)」であることも条件のひとつです。
条件を満たした地方公共団体がLINEヤフー社の専用フォームから申し込み、審査を経て適用されます。
詳しくはLINEヤフー社が提供している資料を参考にしてください。
LINE公式アカウントの地方公共団体プランを利用するメリット

LINE公式アカウントの「地方公共団体プラン」を利用することは、地方公共団体にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは地方公共団体がLINE公式アカウントを利用する利点や、「地方公共団体プラン」を契約すべき理由などについて解説します。
コスト面のメリットが大きい
地方公共団体にとって、LINE公式アカウントの最大の魅力は、費用負担がないことといえるでしょう。
特に「地方公共団体プラン」を利用すれば、メッセージの配信数に関わらず、コスト面の負担なく住民に情報を発信できます。
通常のライトプラン・スタンダードプランでは、配信メッセージ数に応じて従量課金が発生しますが、地方公共団体プランでは上限を気にせず無料で配信できることは大きなメリットです。
さらに、通常は有料であるプレミアムID(アカウントの「@」から始まるIDを、自分で好きな文字列に設定できるオプション)も利用できるなど、広報予算を抑えながら情報発信を強化できます。
住民へ情報が届けやすい
LINEは、国内約9,900万人(2025年6月時点)ものユーザーに利用されているコミュニケーションアプリです。
日常的に使用しているユーザーも多く、住民が普段使っているスマホアプリ内で行政情報を受け取れるため、利用しやすい点もメリットのひとつです。
さらにLINEなら配信内容が通知でリアルタイムに届くため、メールやチラシ以上に住民に迅速に情報を届けることが可能。
特に防災関連など、緊急性の高い情報配信に高い効果が見込め、実際に災害時に迅速な避難情報を発信する自治体も増えています。
地方公共団体プランの導入の流れ

自身が属する地方公共団体でもLINE公式アカウントの「地方公共団体プラン」を利用したいとお考えの方も多いでしょう。
ここでは実際にLINE公式アカウントの地方公共団体プランを利用したい方へ向け、導入、利用までのステップを紹介します。
審査前の準備を整える
LINE公式アカウントの「地方公共団体プラン」を契約するには、まずは通常のLINE公式アカウントを作成し、運用するアカウントを認証済アカウントにする必要があります。
LINE公式アカウントには認証済アカウントと未認証アカウントがあり、それぞれに特徴や利用できる機能に差があります。両者の違いや、認証済みにするメリットなどについては以下の記事を参考にしてください。
アカウント作成後は、アカウント名やプロフィールなどを自治体としてふさわしい内容に整備します。
そもそもアカウントの名称が地方公共団体名になっていないと「地方公共団体プラン」は申し込めません。
また、申込担当者が地方公共団体に所属していることも「地方公共団体プラン」を契約する条件なので、担当者を自治体職員に設定しましょう。
さらに内部では、どの部署がLINE運用を担当するか、どのような情報を発信していくかといった点も整理しておくことが大切です。
申し込みと審査依頼を行う
LINE公式アカウントを開設後、地方公共団体プランの適用条件を満たしたら、LINEヤフーの公式サイトにある専用フォームから申請を行いましょう。
申込内容に不備がなければ、3〜5営業日程度でサービスが適用されます。審査結果はメールで送付されるので、審査が通過した場合はメールを保管しておきましょう。
なお、審査が認められない場合も、その理由は開示されません。ただし、申し込みが受理されなかった場合でも、内容を修正のうえ、再度申し込みすることは可能です。
運用開始後の設定を行う
LINEヤフー社の審査を通過し、「地方公共団体プラン」が適用されたら、配信する情報のカテゴリ(防災、イベント、子育てなど)を整理し、リッチメニューや自動応答メッセージを設定しましょう。
以下の記事では、LINE公式アカウントで利用できる便利な機能や設定を網羅的に紹介しています。「LINE公式アカウントでどんなことができるのか分からない」という方は、ぜひ参考にしてください。
配信内容を決めると共に、住民に友だち追加を促し、利用者数を増やす対策も重要です。
LINE公式アカウントの存在を住民にお知らせするほか、QRコードを広報誌やWebサイト、施設内ポスターなどに掲載し、積極的に告知する必要があります。
LINE公式アカウントを友だち追加してもらう方法や、友だち数を増やすコツについては以下の記事で詳しく解説しています。こちらもぜひ合わせてご覧ください。
地方公共団体のLINE公式アカウント活用事例

ここでは、実際にLINE公式アカウントを利用し、住民とコミュニケーションを図っている地方公共団体の事例を紹介します。
ここで紹介するのは、LINEヤフー社が創設した、行政のデジタル化支援事業である『LINEスマートシティ推進パートナープログラム』の取り組み事例です。
自身の属する地方公共団体で同様の取り組みができないか、ぜひ参考にしてみてください。
能登半島地震での緊急情報の発信
令和6年の能登半島地震の際、石川県珠洲市ではLINE公式アカウントを活用した情報発信を行いました。
広報担当が1人しかおらず迅速な情報配信が難しい状況の珠洲市に対し、神戸市は職員を派遣。珠洲市のアカウントを通して、避難所情報・通行止め・炊き出しなど、住民が求める「生きるための情報」をプッシュ通知で届けました。
さらに、文字だけではなく画像や市長メッセージなども活用し、受信者の反応を分析しながら配信内容を改善。結果、住民の信頼を得ながら情報がスムーズに届く体制が構築されました。
出典:LINE for Government|自治体のデジタル化推進
子どもや若者の悩みを受け止める「LINE相談」の導入
多くの地方公共団体で、LINE公式アカウントを活用した「LINE相談」を導入する動きが広がっています。
例えば長野県や滋賀県大津市では、いじめ・進路・家庭などの悩みを受け止める窓口としてLINE相談を開始。長野県では2017年9月から運用を始め、わずか1か月で547件の相談が寄せられました。
これは電話相談1年分を上回る件数で、LINEの気軽さが多くの子どもたちの利用につながっていることを示しています。また電話では話しにくい悩みも、LINEならメッセージで送れるため、より率直な相談が増えたということです。
このような仕組みは国の支援も受けて全国へと拡大しており、身近なLINEを使うことで悩みを早期にキャッチし、深刻化を防ぐ取り組みとして評価されています。
LINEリサーチで市民の声を反映した図書館づくり
大阪府寝屋川市は、地震で被害を受けた中央図書館を再建する際、LINEリサーチを使って市民の意見を収集しました。
LINEを利用し市民の声を集めた目的は「ただ直すのではなく、行きたくなる図書館にする」こと。調査では、2日間という短期間で多くの回答を集めることができたとのことです。
アンケートの結果、「静かに過ごせる空間」「Wi-Fiの充実」「カフェや一人席が欲しい」といった声が多く寄せられ、これらのデータは図書館の設計や空間づくりに反映されました。
LINEリサーチの強みは、幅広い年齢層の意見をすぐに集計できる点。LINEを通じて市民と行政の距離を効率的に縮めた事例といえます。
出典:全国的なトレンドや傾向を把握して、市の施設の参考に!寝屋川市のLINEリサーチ活用事例|LINEヤフー for Business
まとめ|LINE公式アカウントを活用したい自治体は地方公共団体プランを検討しよう

この記事では、LINE公式アカウントの地方公共団体プランについて解説しました。
地方公共団体プランは、住民への情報発信を強化しながら、コストを抑えられる、都道府県市区町村向けの便利なプランです。
導入のハードルは高くなく、しっかりと準備すれば短期間で運用を始めることも可能。防災・生活情報といった配信だけでなく、地域の魅力発信や市民との双方向コミュニケーションにも役立ちます。
地方公共団体プランを活用したLINE公式アカウントでの発信は、自治体の広報を強化したい方にとって、有力な選択肢となるでしょう。
- LINE公式アカウントの地方公共団体プランは都道府県・市区町村の公的団体向け無償プラン
- LINEヤフー社の審査を通過した地方公共団体の認証済アカウントが対象
- LINE公式アカウントはコスト面や情報到達力の高さが魅力
- 防災時の緊急連絡やLINE相談、窓口の設置、住民との交流の活性化など全国でさまざまな好事例が上がっている
さらにLINE公式アカウントの機能性を高めたい広報担当者の方には、初期費用・月額費用0円から利用できるLINE公式アカウントの拡張ツール、L Message(エルメ)がおすすめです。
エルメなら、アンケートフォームの作成や各種イベントの予約管理など、よりきめ細やかな対応が可能。市民にとって使いやすいLINE環境を整えたい方は、ぜひ導入をご検討ください。









